morandi @artm pref hyogo/ジョルジョ・モランディ展@兵庫県立美術館
(2016.01.27 追記) 兵庫県立美術館にて開催中のジョルジョ・モランディ展、ブロガー向け内覧会(2016年1月23日(土))に参加してきました。
受付を済ませ、1階レクチャールームにて学芸員さんの解説と撮影の注意点を聞き、いよいよ撮影しつつの絵画鑑賞。
3階の展示室入口付近、入場するブロガーの面々。
モランディは生涯のほとんどを、限られたモノで構成された静物画を中心に描いた画家なので、モチーフや画面構成の特徴ごとに11のセクションに分けて展示。珍しい試みですね。
(1、2、3、写真、4、5、6、7、8、9、10、11)
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さて、1番目のセクションは「I 変奏のはじまり」の6点です。
展覧会あるあるですが、入口付近は混み合っていて自分のペースでの鑑賞が困難なことが多いですが、撮影も同様で…。そして、油彩以外は写真ではよく分からないかと思いますが、これはイタリア側の要請などなどで絵1点のみの撮影は不可という制約があり混雑と相まってなかなか^^;
絵だけでなく鑑賞者の後ろ姿も…と撮影すると…同じころに入場したり鑑賞・撮影ペースの近い人が集中的に写ってしまいますねぇ…。
比較的初期の作品で構成されるこのセクションの絵には、この展示のなかで最も多様なモチーフが描かれているわけですが、全体を見た後で改めて見ると、後の作品群へ向かう過程の謎解き的な面白さがあります。
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次からが今展示のかなめ:特徴による分類セクション:その1「II 溝に差す影」6点。
百聞は一見に…両作品の右寄りに縦に溝が走る白い瓶や同様な溝のあるモノとその他比較的平坦なモノで構成される静物画。
言葉で表すと同じ様なモチーフで同じ様に構成される作品群ですが、実物を見ると各々受ける印象はかなり違い…。
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今度はたくさんの器が所狭しと並ぶ作品群。
ですが、整然と並べてみたり雑然とした状態だったり。
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ちょっと一息。次の「IV 逆さのじょうご」セクションの「逆さじょうご」を含む数々のモチーフの実物の写真が掲示されていました。
「逆さじょうご」は左の写真の左側、円筒形の容器にじょうごを逆さまにかぶせて溶接した自作の品だそうです。手前の丸いのは玩具に塗装したもの。右の写真の器の一部はガラス瓶を内側から塗装したもの。などなど、気に入ったもの、あるいは自分好みに作ったり改造したものを描き続けている画家ならではのこだわりが見て取れます。
右の写真:モランディの家の写真ですが、左に入口があって、イーゼルと右隣の机。ほとんどの作品はこの位置関係で描かれています。時間をかけて机の上に印をつけて器を並べ、入口からの光などを加減し、精密に欲しい構図や明暗、影を作り上げて、それを忠実に描く、というスタイル。
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その自作の器:「逆さのじょうご」は沢山描かれていますが、同じ様に描かれているわけではなく…
「逆さのじょうご」と組み合わせて描かれている器たちも、やはり一枚一枚違った表情を見せています。
構図ももちろん色々。
似た様な配置であっても全く違う印象。
絵のサイズも大作は無いですが色々。
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「V 矩形の構成」4点。構成をコンポジションと読ませています。
今度は四角いうつわが主役?な作品群。やはり各々違いますね。
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油彩の大部分が隅まで計算されて使用されているのに対し、正面の3点は丸い空間の中だけで表現されています。正統的なハッチングによる完成度の高い作品群です。(写真ではよくわかりませんね…。)
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「VII ペルシャの扁壺」13点。「逆さのじょうご」同様、好んで描かれたモチーフ。
左端の絵で白い四角い壺が2つ描かれていますが、2個所有していて、ペアまたは単独で登場。
でも、実物にある文字などの細部は描かれることなく…。
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表面に縞模様が描かれている器が含まれる作品群。
多くの無地の器(あるいは無地として描かれている器)に対して、器に描かれた縞模様が存在感を示します。
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ここでは「I 変奏のはじまり」と違って同じモチーフを使ってどの様なバリエーションが描かれているかを中心に。
ここに至って、モランディは(ある意味…抽象画から得られる…であろう)抽象的な印象を、彼にとって身近で具体的なモノたちの緻密な構成によって表現する、極めて実験的な画家であることが印象付けられます。
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風景もやはり少し独特の味わいが。最初に絵を遠目に見ると何が描かれているかよく判らず混乱します。ある程度近づくと風景が見えて。静物画と同様、ディテールは簡素化しつつ地肌など質感の描き込みにはこだわりが見えます。そして、一度風景が「見え」てから改めて遠目に見ると「遠くから見た風景」の絵としてしっくりと。
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造花をお気に入りの花瓶に。ここにも馴染みのモノを構成して思い通りの画面を構成する姿勢が貫かれています。「VI 多様なハッチング」のいくつかで画面の円形の領域に描いた様に、ここでも幾つかの作品では角の丸いなだらかな四角の領域に描いています。
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ボローニャの街のパノラマ写真。
モランディ展のある3階には奥のエレベーターまたは右手の階段で。
おなじみ?兵庫県立美術館、正面入口。夜間はアプローチ通路の左右に配したLED照明によって7色に変化します。
…というわけで、学芸員さんの解説、鑑賞&撮影、学芸員さんを囲んでの質疑・応答・座談会(?)、再入場して閉館近くまで鑑賞、と充実した午後となりました。
最後になりましたが、兵庫県立美術館 営業・広報グループの皆様、ブロガー向け内覧会のスタッフの皆様、大変楽しく有意義な時間をすごさせて頂きまして、ありがとうございます。またこの様な機会を是非設けて頂けたら、と思います。またこの様な企画が各地の美術館・博物館などで広がると良いなと思います。
以上
参考)
兵庫県立美術館
兵庫県立美術館 Facebook
兵庫県立美術館の360°画像集(リコー・シータの作例として)
ジョルジョ・モランディ展
ブロガー向け内覧会
モランディ美術館(イタリア)
展示会場で上映されていたDVDの制作社 英語サイト
DVDのトレーラー1、トレーラー2
(トレーラーは英語字幕付き。日本では未発売とのことです。会場では日本語字幕付きでしたが…)
撮影機材:
今回は室内で複数の絵画を一覧できる様に撮影するため広角レンズ2本を2台のカメラに装着して撮影。
Nikon D5300 + AF DX Fisheye-Nikkor 10.5mm f/2.8G ED
対角線魚眼レンズで室内を一望に。画角的には充分ですが、沢山の絵の位置と人の動きを把握してうまく人が絵の隙間に、と思うとタイミングが難しいですね^^;
あと、このレンズだとかなり接近しても複数の絵を撮影できるのですが、傍目には絵画1点のみの撮影は不可の制約を破って撮影している様に見えてしまうという問題が^^;;;
Nikon D5200 + Tokina AT-X 116 PRO DX II
トキナの広角ズームレンズ。水平画角93°〜72°をカバーするので1つor2つの壁面を一度に撮影可能。このレンズでもかなり接近しても複数の絵を撮影できます。
あと、展示室内でのシャッター音を気にされていたスタッフの方がおられました。今回持参した1眼レフだと静かな室内ではやはり目立ちますね(静音撮影ができる機種もあります)。静かなのはミラーレス1眼やコンパクトデジカメで、スマホなどはメカ的には同じく静かなのですが、逆にプライバシー侵害防止などの観点から「シャッター音をスピーカーから出す」仕様になっています。
(初稿2016.01.26)
兵庫県立美術館 モランディ展 ブロガー向け内覧会 参加記事:
licoluise @luiselico さんのブログ:ARTことはじめ:兵庫県立美術館「モランディ展」内覧会に参加して感じたこと。
235 @235s さんの連続ツイート 兵庫県立美術館で開催されている「ジョルジョ・モランディ ー終わりなき変奏ー」の内覧会に行ってきました。
かず@神戸っ子 @koubekko さんのブログ:ぐるぐるグルメ:兵庫県立美術館「ジョルジョ・モランディ展」 〜モランディさんに小一時間聞いてみたい〜着物姿の奥さんと共に…。
いくそん さんのブログ:晴耕雨読 フリーター胡坐をかく。:1月23日やっと彼に逢えたんだ! モランディ とその絵に対する愛情と尊敬に満ちた記事ですね。
TAKAGI TORU さんのブログ;密やか式: ジョルジュ・モランディ展【終わりなき変奏】ー兵庫県立美術館
nemugreen さんのブログ:へたも洋裁のうち:絵画に癒されに☆☆ブロガー内覧会に行く。
yukaringo1017 さんのブログ:No ART , No Life . なんでも美術日記:ジョルジョ・モランディ 終わりなき変奏 兵庫県立美術館
(2016.01.27 webで見かけた(ぉぃ) ブロガー向け内覧会 参加記事 へのリンクを追加 なかなか読み応えがありますね^^)
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